こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。
先日JASRACについて書いたところとても反響をいただいたので、それを受けての続編になります。
前の記事をまだお読みでない方はこちらをぜひ。
また、そもそもJASRACって実際は何なの?という方はこちらの記事を最初に読むことをおすすめします。
(2018/7/3 内容を最新のものにしました)
JASRACは正義なのか
JASRACに信託した場合と、NexToneに信託した場合の大きな違いの一つが、「演奏権」の部分だ。
超簡単に言うと、
・曲をライブハウスで演奏する
・曲をお店のBGMとして再生する
というような使用をされた時に、
・JASRAC管理楽曲なら、お店から使用料が徴収され、作詞作曲者に分配される
・NexTone管理楽曲や自己管理楽曲だと、そもそも勝手に使ってはいけない
という話である。
これだけ見るとJASRACの方が優れているような感じでもあるのだが、実はここに問題がある。
この方式で徴収されたお金の分配方法が、めちゃめちゃざっくりしていてブラックボックス状態なのだ。
JASRACのブラックボックス
例えばぼくのバンド「SONALIO」や、その前身である「メリディアンローグ」の曲の一部はJASRACに登録されている。
そしてもちろん、今までに何十回もライブハウスでその曲たちを演奏している。
だから当然、ライブハウスの人たちはJASRACにお金を払っている。
(自分の曲を演奏しているだけなのに、JASRACにお金を払わなきゃいけないのはおかしい!という意見もあるが、ぼくはそこは仕方ないんじゃないかな?と思っている。演奏したのが本当に本人かどうかの確認の方が大変なので)
しかし、ぼくたちがJASRACから分配された「演奏権」に関する印税は、ここ10年振り返っても、なんとゼロなのだ。
明らかに矛盾している。
このあたりの問題は、爆風スランプのファンキー末吉さんとJASRACの戦い(裁判)が知られているのだが、これも大枠としては同じ話だ。
ファンキーさんは自身がライブハウスのオーナーでもあり、JASRACに演奏権の使用料を請求されている。
しかし、「作詞作曲家としての自分」に正しく分配されていていない。これはおかしい。と情報発信を行っている。
演奏権の著作権使用料については他にも多く不満の声を聞く。
カラオケを大音量でかけつつ、それに合わせて生バンドが演奏してくれることにより、お客さんは生バンドで歌う体験ができる、という業態で人気のお店「BAN×KARA」オーナーの滝沢杏奈さんによると
うちの店はカラオケ流す著作権料プラス生演奏分の著作権料でダブルで毎月支払ってるよ!
それが還元されてないとか https://t.co/WLxqvcr0Fk— 滝沢杏奈 (@anna_takizawa) 2017年2月8日
とのことで、使用料の「徴収」の方はかなり熱心に行われている印象だ。
それに対して「分配」がここまで杜撰だと
毎月きちんとJASRACに払ってんのに還元されてないならうちの店来てくれるアーティストに一杯奢ったほうがよくない?
— 滝沢杏奈 (@anna_takizawa) 2017年2月8日
と言いたくなる気持ちは分かる。
どうすればいいのか
さあこれは困った。
Shazamを応用するなどの技術的アプローチもあるが、
実際「どこで、どの曲を演奏したのか」を全曲、正確にキャッチするのは難しいのは分かる。
しかし、「何十回も何百回も演奏している(されている)のに納得感のある印税が入ってきていない」というアーティストが少なくとも複数存在するという事実から、JASRACの現状の分配方法に問題があるのは間違いない。
どうしてもそこが改善できないというのであれば、せめて「こういう基準で、こういう方法でなるべく頑張って正しく分配しています」という情報は公開するべきではないだろうか。
それをJASRACがやらないのなら、NexToneなり、別の会社なりが整備していくしかない。
特に店舗BGMについては、ぼくの会社がやれることも多いと思っているので、がんばっていきたい。
「 音楽活動で生計を立てるための全知識 」もご覧ください。ご好評いただいてます。
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