アートと商業的成功(ポルカドットスティングレイの記事に衝撃を受けた話)

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こんにちは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

突然ですが、ふと考えてみれば

「アーティストとして商業的に成功する」

という文章自体が、矛盾しているようにも思えます。

アートとは自己表現です。

自分が感じたこと、伝えたいこと、形に残したいものなどを作品という形でアウトプットする。

自分の内部にあるものによって作られるもの。
それがアートです。

ではそれに対して「商業的成功」というのはどうやってもたらされるのでしょうか。

商業的成功は、人が求めるものを作ることによりもたらされます。

あなたがどんな感情であるか、どんな願望を持っているか、は重要ではありません。
他者(買い手)がどのようなものを求めているのか、好んでいるのか。
そこにドンピシャではまり込むものを作ることこそが、商業的成功の秘訣です。

つまり、他者の内部にあるものによってもたらされるもの。
それが商業的成功です。

あなたはアートがしたいのでしょうか?
それとも商業的成功がしたいのでしょうか?

どちらも両立する方法はないのでしょうか?

ポルカドットスティングレイ

というバンドをご存知でしょうか。

活動初期からMusicVideoが話題になり、若者を中心にファンが一気に広がり、
結成から2年でメジャーデビューした日本のバンドです。

ぼくも「ほう〜今度はこんな感じのバンドが人気なのか〜」と見ていた程度だったのですが、
下記のインタビューを読んで衝撃を受けました。

>>ポルカ雫が明かす、「結成して2年でメジャーデビューした秘策」

特に驚いたのは下記の部分。

“自分の作りたいもの”を作るのではなく、”お客さんが欲しいもの”を提供し続けないと。だってこれは仕事なのだから。ユーザーが求めるものをリサーチしてから手を動かす。ローンチ後もユーザーの声を入念に調べて、次のバージョンアップに反映する。音楽も同じ方法で作っています。

内から溢れ出る想いや、自分の体験を曲にのせることはない。みんなが欲しいものを作っているだけ。

いや、この思想自体に驚いたのではありません。

こういう発言をオープンにするアーティストが現れたことに驚いたのです。

求められる音楽を作るということ

音楽活動で商業的に成功したい(音楽で生計を立てていきたい)と考えているなら、
「お客さんが欲しいものを作る」という発想は外すことはできません

そして「お客さんが欲しいもの」と「あなたが作りたいもの」がずっと完全一致し続ける、というのはあり得ません。

商業的成功を求める限り、時には「作りたいものを我慢する」「作りたいものとはちょっと違ったものを作る」ということが必要なのです。

そんなことはしたくないでしょうか?

したくない、という方はする必要はありません。
「商業的成功」よりも「アート表現をすること」を大切にしたいのであれば、「お客さんのニーズ」はむしろ考えるべきではありません。

しかし「音楽で食っていきたい」「売れたい」と思っているのであれば、
「自分の100%作りたいものを作っていれば、きっと成功できるはず」という高慢な考えは捨てるべきです。

「作りたいもの」を全て捨てろという意味ではありません。
自分の作りたいものの中で「お客さんが求めていないもの」を作らず、「特に求められているもの」を積極的に作る、ということです。

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発信するジレンマ

こういったことをツイートすると、必ず批判めいたものが飛んできます。

「そんな風に作られた音楽なんて聴きたくない」
「アーティストが心から表現するものが素晴らしいんだ」

というようなものです。

はい。
ここで断言しましょう。

あなたが好きなアーティストが「全く売れていないインディーズアーティスト」ではないのであれば、
そのアーティストはほぼ間違いなく「求められているものは何か」という視点を持って活動しています。

「そんなはずはない!○○○○(バンド名)は違う!」

と思いますか?

そう思うのも無理はありません。
なぜならアーティストはそう思われていた方が得だからです。

「お客さんの好みの傾向を分析した結果作り出した新曲です」
「自分が最近感じている苦悩や葛藤を詰め込んだ新曲です」

どちらが共感できるでしょうか。
どちらが感動できるでしょうか。

間違いなく後者ですよね。

だからそういうことにしておいた方が得なのです。

しかし、お客さんのニーズを考えずに活動していて商業的に成功し続けることができるほど、
現代社会は甘くありません。

実際、ぼくの知っている(成功した)アーティストは「お客さんのニーズ」をとても大切に考えています。
しかし、あえてそういうことは公言しません

ポルカドットスティングレイ雫さんのようにそこを正直に語る姿勢はとてもリスキーであり、だからこそ驚いたということです。

売れたいなら知っていてほしい

ではなぜ、ぼくがこんな「種明かし」のようなことを書いているのか?ということになります。

確かに隠しておいたほうが音楽業界全体のためになるような気もします。

それでもぼくがこうやってわざわざ書いているのは、
リスナーだけでなく、アーティスト志望の皆さんまで騙されてしまっていると感じているからです。

商業的成功をしたいと考えながら音楽活動をするのはとても素敵なことです。

色んな人に自分の作品を聴いてもらいたい。
たくさんの人の前でライブがしたい。
仕事をやめて音楽漬けの毎日が送りたい。

それらを実現するための手段として「商業的成功」は必須と言えます。

そのためには「ユーザーのニーズを理解して、求められる音楽を作る」という視点を欠かすことはできません。

にも関わらず、ほとんど全ての先輩アーティストはそこを語りません。
なぜなら得がないからです。

だからこそ、せめてぼくは才能ある未来のスターのために声をあげたい。
そう思って書きました。

繰り返しになりますが「こういう音楽をやりたい」という気持ちを捨てろということでありません。

両方の要素のバランスを取って活動することが大切なのです。

それが、未来のスターであるあなたにだけ伝われば、と願っています。

海保けんたろーのTwitterはこちら→ @kentaro_kaiho

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