こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。
先日、ライブハウス「四谷アウトブレイク」「下北沢ろくでもない夜」の
名物店長お2人に声をかけていただいてトークライブに出演してきました。
佐藤booneさん、原口雄介さん、ありがとうございました。
ちょっと前に話題になったぼくのブログ記事の話から、
恋愛観の話に急に移行したりしてとても楽しかったのだけど、
その時に原口さんが言ってて「なるほどなあ」と思ったことがあったので、
今日はそのトピックについてのぼくの意見を。
チケットノルマとは
あなたは「チケットノルマ」というシステムをご存知だろうか。
知らない人もいるかもしれないので説明するが、
要はインディーズバンドなどがライブハウスに出演する際に
「最低でも○人は動員してくださいね。
もし足りなかったらその分のチケット代はあなたに払ってもらいますからね」
という約束をさせられるシステムだ。
チケットノルマ10枚のイベントに出演して、4人しか動員できなかったら、
ライブ終了後に、バンドはライブハウスに6人分のチケット代を支払わなくてはいけない。
このシステムに対する批判は多いが、ぼくはある程度必要な仕組みだと思っている。
そんな中で「ぼくたちは、チケットノルマを課されるイベントには出演しません」と
ライブハウスやイベンターに対して宣言するアーティストがいる。
気持ちはわかるが、これは大いに損をしているので、
心当たりのあるアーティストはぜひ考え直してほしい。
チケットノルマに動員が届かなかった
↓
お金払う
↓
つらい
↓
チケットノルマがなければいいのに
こういう思考を辿ってしまうのは仕方がない。
ただそれで「今後はチケットノルマのあるイベントには出演しないぞ」と決めてしまうのは、
そのバンドの未来を大きく狭めてしまうのだ。
動員があるか、ないか
以下、チケット代は2000円だと仮定する。
30人動員できるバンドが
「ノルマ10枚(11枚目以降全額バック)」のイベントに出演すると
2000円×20枚=4万円の利益が出る。
そのバンドが
「ノルマなし(1枚目以降50%バック)」のイベントに出演すると
1000円×30枚=3万円の利益が出る。
つまり、バック率次第ではノルマありの方が稼げるのだ。
だから、動員が安定しているバンドはノルマではなく、
ノルマとバック率のバランスを気にするのだ。
それに対し、5人しか動員できないバンドが
「ノルマ10枚(11枚目以降全額バック)」のイベントに出演すると
2000円×5枚=1万円の損失が出る。
そのバンドが
「ノルマなし(1枚目以降50%バック)」のイベントに出演すると
1000円×5枚=5000円の利益が出る。
そう。動員が少ないバンドはノルマがない方が嬉しいのだ。
ノルマなし縛りはやばい
すなわち、ライブハウスのブッキング担当者から見ると
「チケットノルマのあるイベントは出ません」と言っているバンドは、
「ぼくたちは動員が少ないし、がんばる気もないです!(キリッ」と宣言しているようなものなのだ。
そんな宣言をしてしまったら、
「この日はきっと動員も多いし、かっこいいバンドばかりだし、絶対に盛り上がるぞ…!」
というイベントへの出演依頼は当然来なくなる。
対バンも動員が少なく、イベント全体の動員よりも出演者の方が多い、というような
寂しいイベントへの出演依頼ばかりが来るだろう。
すると結局認知が広がることもなく、
動員数も(別で何かしない限りは)増えていかない。
負け組バンドマンコースへようこそ。
どうすればいいのか
どうしても5人しか呼べないというバンドは、まずはライブ本数を減らすことから考えるといい。
月3回のライブに5人ずつ呼べるなら、月1回のライブには10人呼べるのではないだろうか。
そして「ノルマがあるイベントは出ません」とは決して宣言せずに出演するイベントを選ぶべきだ。
「ノルマなしのイベントに出るな」ということではない。
「いいイベントがあれば、その日に集中して動員してノルマ越えてみせます」というスタンスを表明し続けることが大切なのだ。
この記事がヒントになり、あなたの音楽活動がより良いものになることを願っています。
「 音楽活動で生計を立てるための全知識 」もご覧ください。ご好評いただいてます。
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