「スマートオーディション」ができるまで(ぼくがしたこと考えたこと)

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こんにちは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

先日、当社は音楽活動支援サービスFrekulの中に「スマートオーディション」という新機能を公開しました。
今日はこのサービスを作るに至った経緯や、ぼくたちの想いについて書いてみます。

>> スマートオーディション

Frekulの悩み

当社が開発運営するFrekulは特にここ1〜2年、登録アーティスト数も売上も増え、アーティストさんに還元できるお金やメリットも膨らんできました。

しかし、ずっとモヤモヤし続けていることがあります。

それは「Frekulから”国民的スター”と言えるようなアーティストを輩出できていない」という点です。

Frekul登録アーティスト中には、メジャーデビューしてアニメのタイアップを決めたり、フジロックフェスティバルに出演したり、アルバイト暮らしだったのが音楽で生計が立つようになったり、という方々はいらっしゃいます。

しかし国民的スターという観点から見ると、(アーティスト本人がそれを望んでいるかどうかはまた別の話ですが)実現できていないというのが実情です。

ぼくは個人的な想いとしても、またビジネス的な意味でもFrekulから国民的スターが生まれるのは必須だと考えています。

数年前までは「これだけたくさんのアーティストが登録してくれているのだから、いずれそういうアーティストも出てくるだろう」くらいに考えていたのですが、まもなく「そう甘くはない」と気づかされました。

残念ながらぼくたちには国民的スターアーティストを作り出すノウハウはありません。
であれば、餅は餅屋。
スターを作り出すノウハウを持っている会社と組むのが合理的です。

それは言うまでもなく事務所・レコード会社といった方々です。

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ファースト・アクション

ぼくはまず今年の前半に色々な音楽業界の方に会いに行きました。

そこで
「今、新人発掘にどのような方法で取り組んでいるのか」
「そこでの悩みは何があるか」
などの質問をぶつけまくってみました。

もちろん会社や担当者さんによって意見はそれぞれ違いましたが、同時にざっくりとした傾向のようなものもわかりました。

・全国のライブハウスを回ったり大規模なオーディションを開催したりというのはコストがかかるため、徹底的にはやれていない。
・アーティストについての情報は常に欲しい。特にまだ世間に知られていなくて才能のあるアーティストがいるならば、ぜひ知りたい。

これで「Frekulが価値を発揮することができそうだ」と確信しました。

Frekulには累計8000組以上の登録アーティストがいて、今も毎月約250組のアーティストが新規登録してくれています。
Frekulの登録に審査はありませんが、250組の中には毎月「これは!」と思うような素晴らしいアーティストが含まれています。

きっと彼らの存在は、ぼくが話を伺った音楽業界の方々にとって知りたいことに違いありません。

僕はさらに踏み込んで
「具体的にどういうアーティストを探しているのか」
「どういう情報を知りたいのか」
といった内容についてヒアリングを続けて「この形であれば間違いなく音楽業界の方々に喜んでもらえるであろう」という形を組み上げました。

ビジネスモデル

そうなってくると残る課題はビジネスモデルです。
つまり当社がビジネス的にどういうメリットを取るべきか?ということです。

パターンとしてはいくつか考えることができます。

1. 情報提供先の企業から月額をいただく
2. 契約が決まったときに企業から成果報酬をいただく
3. 契約が決まったアーティストについての権利を一部持たせていただく
4. エントリーするアーティストからエントリー料をいただく
5. 別のメリットを取りに行く

ここについても企業側へのヒアリングを軸にして検討していきました。

一旦有力候補になったのは「1」の月額をいただくパターンです。

しかしこれから新しく始まる取り組みですから、企業側としてはFrekulがどれくらい粒ぞろいでどれぐらいの数を紹介してくれるのか?と言うところが読めません。
そしてこれはぼくたちも始めてみないとイマイチわかりません。

だとすると、効果が不明瞭なところに対して月額を支払うというのはハードルが高いのは当然です。

そのため、これは将来的にこの機能が有用だと判断していただけた後に交渉すべきものだと考えました。

そうなると、現実的な選択は5つめの「別のメリット」でした。

ここはぼくに腹案がありました。

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5つ目の選択

ぼくががっつりとバンドをやっていた頃、何度もオーディションにエントリーしたことがあります。
ホームページの「デモテープ募集」に応募したこともあります。
飛び込みで行ってCDを無理やり渡したこともあります(その節はご迷惑をおかけしました…)。

結果、そのほとんどは何のリアクションもありませんでした

そこで、ぼくたちが最初に思うのは「どうせちゃんと聴いてないんだろうな」です。
その裏側には「ぼくたちはサイコーの音楽を作っているのだから、みんなが聴いてくれていたらこんなに連絡がこないはずはない」という自惚れがあるのです。

起業してしばらくして、色々な音楽業界の方とお話させていただくようになると、それがおそらく間違いだったということが分かりました。
ぼくのバンドの曲は「聴かれた上で却下されていた」のです。

ぼくは「それならそうと知りたかった…!」と思いました。

もし「聴かれたけど、連絡はこない」ということが分かっていれば、早々にぼくは自分のバンドの音楽に対する自惚れを解消することができていたはずだったのです。
ライブ集客やオーディション応募よりも、音楽のレベルアップに集中すべきなんだ、とフォーカスすることができたはずだったのです。

※誤解のないよう書いておくと、今でも「ぼくらがやっていた音楽はサイコーだな」と思っています。が、今の日本で国民的スターになる音楽ではないと判断されていた(ことに気づきたかった)ということです。

だからこそ、例えば「オーディションにエントリーしました」で終わりではなく「○○社の人があなたの曲を聴きました」ということが分かる仕組みがあったら、間違いなくアーティストは驚き喜んでくれるという確信がありました。

であれば、それを実現できれば「Frekul登録アーティストの大幅増加」という形で当社はメリットを得ることができます。

つまりスマートオーディション単体で利益を得るのではなく、Frekul全体としての利益を拡大する方針にしたのです。

サービスの完成

まとめたサービスの全体像と、画面のイメージ図を持って改めてヒアリングに協力してくださった企業を回りました。
その結果ほとんどの会社が参画してくださいました。

これが、当社が今回リリースした「スマートオーディション」というサービスができるまでです。

このサービスが多くのアーティストや企業に広まることによって、

アーティスト側は
・オーディション情報を見逃さないように調べたり情報収集をする手間がなくなる。
・それぞれのオーディションのフォーマットに合わせてエントリーを行う手間がなくなる。
・どの企業の人が聴いてくれたかがわかるので、それを今後の活動に活かすことができる。

企業側は
・大規模なオーディション立ち上げてそれを宣伝したり、全国のライブハウスに担当スタッフを派遣したりといったコストをかけることなく素敵なアーティストと出会うことができる。

という双方にとって素晴らしい仕組みができあがりました。

当社のミッションである「実力あるアーティストが、公正に、経済的に評価される世界を作る」にまた一歩近づくために、
これが多くのアーティストや作曲家、そして多くの音楽業界の方々に広まることを望んでいます。

この長い文章をここまでお読みくださったあなた。
もしまわりに音楽をやっている方や、音楽業界で働いている方がいるようでしたら「スマートオーディション」の存在を伝えていただけたら嬉しいです。

ぼくたちが作ったこの新しい仕組みが、きっとその方のお役に立てると信じています。

>> スマートオーディション

海保けんたろーのTwitterはこちら→ @kentaro_kaiho

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