チケット転売問題・オリラジ中田さん案には穴があるから指摘するね

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

オリエンタルラジオの中田さんのブログ記事が、にわかに話題になっている。

>> オリエンタルラジオ 中田 公式ブログ – オリラジ中田、転売撲滅の画期的システム発表!

チケットの転売屋問題についてどう対応していくべきか、新しいアイデアを考えたから実行します!という記事だ。
これを考え、分かりやすく説明し、実行するということに、心から拍手を送りたい。

転売屋問題は音楽業界においてとても重要な問題であるし、それに対して一石を投じるこのアイデアはとても素敵だと思う。

だが、ぼくから見ると抜け落ちている発想があると感じたため、エールを込めて指摘したい。

具体的に言うと「チケットの購入タイミングが変化すること」について考慮されていないのだ。

以下、詳しく説明する。

ジャスト・キャパシティ・システムについて

元記事は長文であるし、読んでいないという方もいると思うので、中田さんのアイデア(ジャスト・キャパシティ・システム)について、まずはぼくの理解を共有しておく。

さまざまな規模の複数会場を「仮押さえ」する

会場未定のままチケットを販売開始する

最初の売れ行きを見て会場を決め、他の会場はキャンセル(仮押さえ解除)する

さらに売れ行きを見て、会場の座席数を決める

チケットはキャンセル不可だが、どうしても行けなくなった人は1000円引で転売できる

本当にライブに参加したい人のほとんどがチケットを購入でき、転売目的で買った人は大損する(解決!)

ということである(間違ってたら指摘してほしい)。

このアイデアだと、

・会場が、高確率で解除される仮押さえを受け入れなくてはいけない
・ライブ参加者が、購入時に会場が分からない

というマイナス要素があるものの、確かにトータルとしては素晴らしいように見える。

しかし、現実的にはこうならないとぼくは考える。

JCSの穴

ジャスト・キャパシティ・システム(以下JCS)を採用したライブは「チケットが(少なくとも早い段階では)売り切れない」というのが特徴である。

これは購入者側から見た場合「チケットを早く購入する理由(インセンティブ)」がない

多くの人は「早く買わないと売り切れちゃうかも」と思うから、発売直後に必死に購入するのだ。

それが逆に「1週間前とかでも購入できるはず」と思っていたらどうなるだろうか?

多くの人は「何か急な予定とか入るかもしれないし、もっと日程近づいたら買おう」と思うのではないだろうか。

しかもJCSの場合は直前なら、1000円引での転売チケットを購入できる可能性がある。

「どうしても絶対にこのライブに参加したい!」と思っている一部の特別熱心なファン以外は、そちらを視野に入れるのではないだろうか。

そうなると、JCSの前提は揺らいでくる。

「売れ行きを見て会場を決める」
「売れ行きを見て座席数を決める」

こういった判断が、正しくできなくなるのだ。

すると販売数の見積りを誤る可能性が高まり、

「小さすぎる会場を押さえてしまい、結局転売屋が儲かる」
「大きすぎる会場を押さえてしまい、ライブが赤字になる上にガラガラになる」

ということが発生してしまう。

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インディーズバンドの現実

「そんなことはない。行きたい人はちゃんと早めにチケットを買うはずだ」と思うだろうか?

その意見への反論は、すでに全国のライブハウスにある。

いわゆる「インディーズアーティスト」と呼ばれているバンドやシンガーソングライターのライブは、その多くが完売しない

例えばそういうバンドがワンマン(単独)ライブのチケットを販売した場合、だいたい売れ行きはこんな感じになる。

チケット発売直後に一部の熱心なファンが購入する

その後まったく売れない

ライブ1〜2週前からまた少し購入が入り始める

ライブ前々日〜前日が最も売れる

「少なくとも早い段階では売り切れないと分かっているライブ」のチケットに対する購入者の反応は、こういうものなのだ。

これでは、JCSのような動きが難しいというのは分かっていただけると思う。

「チケット販売を早めに終了すればいい」とか言われそうだが、
それはただ総動員数が減るだけなので、主催側・出演側としてはやりたくないのだ。

どうすればいいのか

否定ばかりを語っていても建設的ではないので、ではどうすればいいのか、という部分についても触れたい。

要は購入者側に「チケットを早く購入するインセンティブがない」という点が問題であるわけなので、
そこを作ってあげればいいのである。

とは言っても「早期購入特典(グッズなど)を用意する」などは、主催側の労力やコストになってしまう。

そこで、ぼくは「チケット販売業者が早期購入特典を用意すべき」だと考える。

具体的には「このサイト経由でチケットを購入すると、最初の100人にはTポイント1000p、次の100人には500p、次の100人には200pが〜〜」みたいなことをするのである。

Tポイントがいいのか楽天ポイントがいいのか、もしくはポイントではない何かの方がいいのか、というような議論は置いておくとして、
ライブ主催側ではなく、チケット販売業者が早期購入を促す機能を持つ、というのが重要なのだ。

そうすると主催側は「最も早期購入されやすいサイトでチケットを販売しよう」という選択ができるようになり、
販売業者間で健全な競争が行われるようになる。

チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、EMTG、Peatix、ticket board、tixeeboxなどなどの中の皆さん、ぜひご検討を。

繰り返しになるが、中田さんの考え方は素敵だと思う。成功してほしい。
だからこそ、率直に書かせていただいた。

JCS”改”が音楽業界を救うことを、期待したい。

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ぼくは英雄になりたいけど、その理由はよく分からない

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

先日、リクルート社の「アントレnet Magazine」に取材していただき、記事が公開されました。

>> 収入よりもやりがいの”安定”を。「英雄になる」ために、ある男が選んだパラレルワークの道

内容はそちらのサイトでお読みいただくとして、今日はその補足を。

英雄になりたい

記事を読んでくださったのであれば伝わっていると思うが、ぼくの目標は「英雄になること」だ。

ぼくの中での英雄の定義は
「数千万人〜数億人の人生を、大幅に幸せな方向に転換させた人」

である。

それに向かうためのルートとして、音楽活動もがんばってきたし、会社の経営もがんばっている。

しかし、例えば音楽活動が極限まで成功して、世界的アーティストになったとして。

それって「数千万人〜数億人の人生を、大幅に幸せな方向に転換させた人」と言えるのだろうか?

と考えると、ぼくの中ではそれは、足りない
数千万人のファンがいたとしても「大幅に人生を転換させた」とまでは言えない。

同様に、今の会社の事業が極限まで成功して、世界中の音楽業界を救ったとして。

それも、やっぱり足りない
世界中の(実力ある)アーティストの人生は大幅に転換するかもしれないが、それは数千万人規模ではない。

ゴールに届くために

つまり、ぼくがいま取り組んでいる音楽活動と、会社経営。

これらはどちらとも、ゴールまでは届かないのだ。

しかし同時に、全く無駄ではない。

両方がうまくいけば、今よりも知名度があって、お金もあって、知識や経験もあって、色んな国や業界に友人やファンがいて。
そんな状態になる。
まずはそれを作りたい。

そこからいよいよ「英雄になるためのプロジェクト」を立ち上げて実行するのだ。

それが実際にどんなプロジェクトなのかは、今は考えていない。

まずは、英雄に0.5歩近づくための努力を、必死にやっていくフェーズなのだ。

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英雄になりたい理由

ふと「なんでぼくは英雄になりたいのだろうか」と考えることがある。

しかし、ここに明確な答えは出ていない

英雄になりたいという気持ちが、なぜか心の奥底から、自然と毎日湧き上がってくるのだ。

単に、強烈に肥大化した承認欲求であるような気もする。

死への恐怖から目をそらすことを目的とした、日々を夢中に生きるための対象物であるような気もする。

その両方かもしれない。

しかし少なくとも言えることは、
「英雄を目指して日々努力や行動を続けている自分」が、結構好きだ。

自分のコンプレックスや、自分のダメな部分に目を向けると本当に嫌になるけど、
夢を追いかけてがんばっている自分は、なかなかいいな、と思っている。

もうひとりの自分が「いい感じだね、そのままがんばりなよ」と言ってくれているような感じがする。

だから、モチベーションが途切れることはない。

24時間365日ぼくは英雄になりたいと思っているし、
その確率を少しでも高めるためにも長生きをしたいと思っている。
これから先に大きな挫折があったとしても、英雄になりたいと思い続ける自信がある。

結果、ぼくがどういう人生を歩み、どう終えることになるのかはもちろん分からない。

だけど、少なくともそこに生まれるであろう多くのドラマを
ぼくはとても楽しみにしているし、

この文を読んでいるあなたにも一緒に楽しんでもらえたら、とてもうれしい。

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今すぐできる、自作曲をカラオケに入れる4つの方法

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

以前は「カラオケに入曲する」というのは大変なことだった。

技術的・コスト的・契約的なハードルが高かったため、たくさん歌われる見込みがない限りは配信されなかった。

しかし、ここ数年でその状況が大きく変化しつつあるのをご存知だろうか。

あなたがもし、オリジナル曲をお持ちのアーティストであるなら、
その曲が全国のカラオケ店で歌えるようになる
のは、もう夢物語ではないのだ。

カラオケに曲が入るメリット

カラオケ配信の方法を紹介する前に「そもそもなぜカラオケ配信するのか?」という部分を一旦考えてもらいたい。

カラオケ配信するメリットは、下記のようなものが考えられる。

●「カラオケに入ったの?すごい!」と友人やファンに思ってもらえる

これは、確かにある。
あるが、カラオケ業界が変わりつつある今、このメリットは段々薄まっていくことだろう。

今から5年くらい限定のメリットだと考えたほうがいい。

●印税が入る

これは、案外大きい
JASRACなどの著作権管理団体に曲を預ける必要がある、という縛りがあるが、
もし預けた上でカラオケ配信を行えば、そもそも掲載されているだけでも(一度も歌われていなくても)印税は少しだけ入る

もちろん歌われればそれだけ入ってくる。
音楽活動をやっていく中で定期収入が作れる意味は大きい。

ただしJASRACに登録した場合に発生するデメリットとの天秤になるので、
ぼく個人の意見としては、たくさん歌われる見込みがないのであれば、
JASRAC登録せずにカラオケ配信する方が良い
と思っている(その場合は印税は入らない)。

カラオケ配信において悩ましい点と言える。

●友人やファン(もしくは自分)が歌うことにより、その場にいる人へのプロモーションになる

これはほぼ確実に発生するメリットだ。

あなたも「友達がカラオケで歌ってた曲」という感じで知った曲があるのではないだろうか?

友人やファンが歌ってくれる度に、それが発生するのだ。
「この曲誰の曲?」「●●●さんって言うんだ、好きなんだよね」「そうなんだ?いい曲だね」
みたいな会話もあるかもしれない。

以上のようなメリットを目的として、カラオケ配信をするのだ。

それでは、具体的なカラオケ配信の方法を紹介しよう。

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Frekul かんたんカラオケ配信

正直、一番オススメ
少しのお金はかかるが、申し込みも簡単だし、JOYSOUNDとカラ鉄に一斉配信できるし、無期限だ。

配信先:JOYSOUND MAX,JOYSOUND f1,カラオケの鉄人
価格:3800円〜12800円
配信期限:無期限
背景映像:自作・おまかせどちらも可能
歌詞表示:自作・おまかせどちらも可能

>> Frekul かんたんカラオケ配信

うたスキ ミュージックポスト

JOYSOUNDの公式サービス。無料なのが最大の強み。
ただ、歌詞テロップ表示については自分のWindowsパソコンで制作する必要があり、それが結構大変。

配信先:JOYSOUND MAX,JOYSOUND f1
価格:無料
配信期限:180日(操作により継続手続き可能)
背景映像:自作・おまかせどちらも可能
歌詞表示:専用ソフトで自作する必要あり

>> うたスキ ミュージックポスト

niconico カラオケ配信プログラム(カラプロ)

ニコニコ動画にオフボーカルのMusicVideoをアップして、申し込みをするだけで、それが配信されるというサービス。
歌詞の表示をやってくれるサービスは入ってないので、映像に自分で歌詞を入れておく必要あり。

配信先:JOYSOUND MAX,JOYSOUND f1
価格:無料
配信期限:最長360日
背景映像:自作する必要あり
歌詞表示:自作する必要あり

>> niconico カラオケ配信プログラム(カラプロ)

エクシング 特別有料配信サービス

JOYSOUNDやUGAを運営しているエクシング社の公式サービス。
JOYSOUNDとUGAの全ての機種に入れられる現状唯一の方法だが、価格がとにかく高い。

配信先:JOYSOUNDとUGAのすべての機種
価格:非公開(ネット上の口コミによると数十万円)
配信期限:無期限
背景映像:自作・おまかせどちらも可能
歌詞表示:おまかせ

>> エクシング 特別有料配信サービス

配信方法の紹介は、以上だ。

カラオケ業界はオープン化している

今回は、「リクエストを送信する」というニュアンスのものは外し、ほぼ確実に入れることができる方法のみを紹介した。

知名度の高い曲であれば、上記の方法を使わずとも、
カラオケ業者にリクエストを送信するだけで入る可能性があるので、そちらもご検討いただきたい。

今後カラオケ業界がオープン化の方向に進んでいくのは間違いない。
その根拠は下記の2つだ。

●カラオケで歌われる曲が、年々バラけてきている

(マイナーな曲も入れていかないと、ニーズに応えきれない)

●ネット回線が高速になったため、オーディオファイルや映像ファイルの短時間転送が可能になった

(新譜追加のために、いちいちMIDIデータで打ち込み直す必要がない)

カラオケによる音楽の認知や、カラオケ印税による収入は、
これからもアーティストにとって重要な一面を担い続けるだろう。

全国のカラオケ店に、あなたの曲を1つ2つ入れてみてはいかがだろうか。

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芸術家がビジネスについて語るのは損だけど語ってもらいたい

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

今日はまず、あなたの好きな芸術家(ミュージシャン、イラストレーター、写真家など)を1つ思い浮かべてほしい。

…良いだろうか。

その人物が、ビジネスについて語っていたらどう思うだろうか?

「売上をアップさせるためにこういうことをしています」
「こういう人たちをターゲット層として宣伝戦略を練っています」
「作品づくりの時は、話題性を生む仕組みを考えて仕込みます」

という発言を聞いたら、あなたはどう思うだろうか。

がっかりする?
逆にもっと好きになる?
なんとも思わない?

芸術家がビジネスを語ることについて、ぼくの意見をまとめてみたのがこの記事である。

ビジネスを語る芸術家

ビジネスについて語る芸術家、というとどんな人が思い浮かぶだろうか。

例えば、AKBグループのプロデューサーとして知られる秋元康さんは、作詞家でもある。
実際に多くの曲の歌詞を制作しており、そういう面では芸術家と言えるだろう。

近いジャンルで言うと、J-POP界に一時代を作り上げた小室哲哉さんも、作詞作曲家である。
同時に、すぐれたビジネスマンであることも疑いの余地がない。

音楽プロデューサーという枠以外で考えると、例えばサカナクションの山口一郎さんも、
かなりビジネスや戦略について語る芸術家と言えるのではないだろうか。

音楽以外で言うと、キングコングの西野亮廣さんは絵本作家という芸術家であると同時に、
ブログなどではかなりビジネス的な発言が多い。

また、「ブラックジャックによろしく」を無料開放して話題になった佐藤秀峰さんは漫画家であり、
漫画業界に新風を巻き起こしている会社の代表でもある。

このように、ビジネスについて語る芸術家というのは珍しいわけではない。

しかし一方で、B’zも、西野カナさんも、ゲスの極み乙女も、蜷川実花さんも、草間彌生さんも、ビジネスについて語ることはない(たぶん)。

見渡してみれば、多くの芸術家が「ビジネスについて語らない」という選択をしている

芸術家がビジネスを語らない理由

なぜ多くの芸術家はビジネスについて語らないのだろうか。

最初に直感的に浮かんできそうな答えとしては「そもそもビジネスの専門家ではないから、語ることがない」あたりであろうか。

しかしこれに関してはぼくは同意できない。

一定の成功を収めている芸術家は、ほぼ例外なくしっかりとしたビジネスマインドを持ち合わせているからだ。

なんとなく浮かんでくるイメージを、なんとなく周りにいたメンバーと、なんとなく発信しているだけで成功するほど、「芸術で食っていく」というのは甘くない。

逆に言えば「芸術で食えている人」の多くは、ビジネス的な部分についてもしっかりと学び、考え、実行してきた人だと言える。

彼らが「語ることがない」とは、ぼくには到底思えない。

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わざと語っていない

すると有力になってくるのが「語るべきではないと思っている」という説だ。

最初の質問を思い出してほしい。

あなたが好きな芸術家がビジネスについて語っているのを聞いたら…

「がっかりする」

と思った方もいるのではないだろうか。

「もしかしてあの素敵な歌詞は、計算に基づいて狙って書いたものなのかな…」
「もしかしてあの情熱的な表情は、戦略的に演じてるものなのかな…」

と考えてしまう方が出てくるのは、十分に想像ができる。

これは、芸術家にとってかなりキツイ

今後、どんないい作品を生み出したとしても
「これはあなたの想いとか感情とかじゃなくて、戦略的に作られた”商品”なんでしょ」
と思われてしまう
のだ。

そんなリスクがあるくらいなら、ビジネスについて語るべきではない

そう思うのは自然なことだ。

それでも語ってほしい

というわけで、

結論!芸術家はビジネスについて語るべきではない!

と言って終わりたい気持ちもあるのだが、実はちょっと引っかかっている

前述した通り、成功した芸術家はほぼ例外なくビジネスマインドを持ち合わせている。

しかしその事実があまりに隠されて過ぎていると、後進たちはビジネスマインドの重要性に気付かない

例えばMr.Childrenの桜井さんだって、明らかにかなり戦略的に動いてきた人だと思うのだが、
世間一般から見たキャラクターは「音楽をひたすら愛する、純粋なアーティスト」という印象だ。

桜井さんが音楽を愛しているのは嘘ではないと思うが、それだけではないというのも事実だ。

やはりそこを裏で支えるビジネスマインドがあったからこそ、商業的な成功をおさめられたのだと思う。

だからもしあなたが芸術家で、しかも一定の成功をおさめているのであれば、
後進のために少しだけでいいからビジネスについても発信をしてほしい。

そしてもしあなたが芸術家の卵であるのなら、純粋な芸術性を追求するのと共に、
ぜひビジネスという切り口からも自分の活動を考えてみてほしい。

あなたが真摯に作品づくりを続けていれば「がっかりする」と思った人にも、いつかは想いが伝わるはずだ。

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著作権とは?原盤権とは?限界まで分かりやすく解説してみた

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

あなたがもし音楽活動をしているなら、「著作権」「原盤権」「JASRAC」というような言葉を聞いたことがあるかと思う。

ひとつひとつ、ちゃんと意味わかっているだろうか?

案外わかってない人も多いのでは?と感じることがあったので、今日は、可能な限りわかりやすく「それらが何なのか」を解説してみようと思う。

(全体的にわかりやすさを重視したので、細かい例外などは省いて説明してます)

著作権とは何か

著作権とは「自分が作った詞や曲について、他者が勝手に使うのを拒否することができる権利」だ。

例えばぼくが「かいほの歌」という歌を作詞作曲したとしたら、ぼく以外は誰も「かいほの歌」を使用することはできない。

ちょっと鼻歌を歌うくらいはOKだけど、人を集めてその前で発表してはいけないし、
勝手に録音して人に聴かせたりしたりしてもいけない。

もしどうしても使いたければ、ぼく本人に連絡を取って、交渉するしかない

これが著作権。
そしてこの著作権は、あなたが曲を作った瞬間に自動的に発生し、どこかに登録したり申請したりする必要はない

原盤権とは何か

原盤権とは「自分が曲を録音したら、その録音したものを他者が勝手に使うのを拒否することができる権利」だ。

つまり著作権は「作詞者と作曲者」の権利。
原盤権は「録音した人」の権利ということになる。

紛らわしいのは、「録音した人=演奏した人」ではなく、
録音した人=レコーディング費用を出した人」という点だ。

つまり、知らないおじさんが「私がレコーディング費用を出してあげるから、君たちバンドのCDを作ろう」と寄ってきたら、
著作権は自分たちのものだが、原盤権はおじさんのものということになる。

インディーズあるあるなので気をつけてほしい。

これも、録音された音源を使いたければ、レコーディング費用を出した本人に交渉するしかない

これが原盤権だ。
そして原盤権も、どこかに登録したり申請したりする必要はない

自動的におじさんに発生するのだ。

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JASRACとは何か

そしてJASRACは「うちに著作権を預けてくれれば、それを利用してお金を稼いできてあげますよ」という組織だ。

あなたが「コンサートで福山雅治の曲を演奏したいなあ」と思っても、
もしJASRACが存在しなければ、福山雅治の連絡先を調べるところから始めなくてはいけない。

しかも連絡が取れたとしても「嫌です」って言われたらおしまいだし、
もしかしたら「1億円くれればいいですよ」と言われるかもしれない。

これはもう圧倒的に面倒すぎる。

しかし逆に、もしその福山雅治の曲がJASRACに登録されていたら、
JASRACのホームページで料金表を見て、その金額をJASRACに支払えばもうOKだ。
「お前の歌下手だから」とかいう理由で拒否されることもない。

これは、福山サイドからみても便利と言える仕組みなのがわかると思う。

強いて言えば福山さんが自分で自分の曲をコンサートで演奏する時も、JASRACにお金を払う必要があったり、まあ面倒な点や問題点も色々あるのだが…。

>> JASRACの何が問題点なのかを解説するから、もう許してあげてほしい

盗作について

ちなみに、JASRACに「盗作防止」の機能があると思っている人がいるが、あれは全くの誤解だ。

あなたが曲を作った時点ですでに著作権は発生しており法的に保護はされているし、
逆に盗作防止についてJASRACは特に何もしてくれない。

もし誰かが、あなたの作った曲にとても似ている曲を発表した場合は、
あなたが本来持っている著作権を根拠に、取り下げ要求やお金の請求などを行うことができる。

そこで相手側が「いやいや、これはおれが作った曲だもん!」と主張してきた場合は、裁判になる。

裁判では「どっちが先に作ったのか」が争点になり、その証拠のひとつとして「ぼくは●月●日の時点ですでにJASRACに登録してました」というのを提出することはできるが、
これは別に「ぼくは●月●日の時点でYouTubeにアップしてました」と同じ効果なので、JASRAC自体が何かを証明してくれるというニュアンスではない。

YouTubeにカバーをアップするのは合法なのか

これはよくある質問なのだが、YouTubeとJASRACは包括契約を行っているため、YouTubeに(JASRAC登録曲の)カバーをアップするのは合法だ。

ただし、JASRACは原盤権についてはノータッチであるため、YouTubeに「誰かが録音したもの」をアップするのは違法なので注意してほしい。

あくまで自分で歌ったもの・演奏したもの・打ち込んだものであればアップできるということだ。

ちなみにカラオケルームで歌った様子をアップしている人を見かけるが、あれは「カラオケの機械を作っている会社の原盤権」を侵害しているのでダメだ。
あくまでバックの演奏も含めて、自分で作ったものである必要がある

権利関係はめんどい

著作権、原盤権といった権利まわりは複雑であり、面倒だ。

しかし実際にこれらの仕組みのおかげで生計を立てられているミュージシャンはとても多い。

もしこういう複雑なルールが存在しなければ、たくさんの作詞作曲家が廃業して、多くの名曲が生まれずに終わっていたかもしれない。

法律の設計が技術の進化においついていない点も多いし、JASRACの抱える組織的な問題点も多いが、
権利=うざい、JASRAC=カス、のような短絡的な思考はやめて、客観的に捉えてほしい。

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音楽活動で生計を立てたいなら工藤江里菜さんを研究せよ

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

「これからの時代、音楽アーティストがどうやって収益を得ていくべきか?」と考えた時に、「グッズ販売」はひとつのキーになるのは間違いない。

しかし、数千人・数万人といったファンがいないインディーズアーティストが、グッズ販売によって大きな収益を得るのは、なかなか難しい

そんな常識を壊す、工藤江里菜さんというシンガーソングライターと出会ったので、彼女のすごさを今日は語りたい。

グッズ販売に重点を置く活動

彼女の主戦場はショッピングモールだ。

海老名にあるビナウォークでの定期ライブを中心に、それ以外にもいくつかのショッピングモールでライブを展開している。

ショッピングモールなどのオープンスペースでライブをするメリットは、「通りすがりの人に見てもらえる(=新規開拓になる)」という点だ。

しかしその一方で、「何人お客さんを動員しても自分の収入にはならない」というデメリットがある。

ショッピングモールや路上ライブなどと、ライブハウスでのライブを併用して開催しているアーティストも多いが、
「無料で見られるライブにしか来てくれない層」が生まれ、ライブハウスでの有料ライブのチケットがなかなか売れずに苦労している例も多い。

そんな中、工藤江里菜さんはライブハウスでのライブをほとんどせずに「グッズ販売」によって十分な収益を得ている、珍しいタイプのインディーズアーティストだ。

考え方が根本的に違う

多くのアーティストの思考順は、下記だ。

作詞作曲を行う

ライブでのお披露目や、CD化などについて考える

リリースイベントやツアーなどが決まったら、それに合わせてグッズ制作を検討する

しかし工藤さんは違う。

新曲のコンセプトを考えながら、その曲の世界観でどんなグッズが作れるかを検討する

作詞作曲を行う

CDをライブ会場(ショッピングモール等)で発売すると同時に、その曲のコンセプトに合ったグッズも発売する

もう、作曲の前からグッズについて考えているのだ。

グッズにはストーリーが重要」と彼女は語る。

取ってつけたように突然リストバンドを作ったり、突然キーホルダーを作ったり…。
グッズ制作を後から考えるパターンだとそうなってしまいがちだ。

しかし、曲のコンセプトについて考えている時にグッズについても考えることができれば、

「新曲は雨についての歌にしよう」→じゃあ、傘を作れないかな
「新曲は電車についての歌にしよう」→じゃあ、パスケースを作れないかな

という発想を事前に組むことができる

そうすると、CD発売と同時に「そのグッズが作られた必然性」がそこに生まれ、
パスケースが「新曲の世界観を楽しむための追加アイテム」としての価値を持つのだ。

>> 工藤江里菜の笑ってシマウマ♪(ブログ)
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グッズにストーリーを持たせる

「グッズにはストーリーが重要」という言葉にはもうひとつ要素がある。

工藤さんは、新曲の制作過程と同じように、グッズ制作の過程もブログで公開しているのだ。

グッズを作ることにした理由。

デザインに込めた想い。

手作業で仕上げている部分。

完成の喜び。

これらをリアルタイムに共有していくことによって、そのグッズの発売日はファンにとって、
ただの「新しいグッズが発売された日」ではなく、
「あのグッズを、ついに手に入れることができる日」になる
のだ。

こうして、ひとつひとつのグッズにストーリーを与え、それを共有していく。

これが、グッズで多くのファンに喜んでもらい、かつアーティストとしての収益を生み出していく工藤さんのやり方である。

CDはグッズである

ちなみにここまで「グッズ」という言い方をしているので誤解されているかもしれないが、
工藤さんが最も多く制作してきたグッズは「CD」である。

曲を聞きたいだけなら、ダウンロード販売でも、定額聴き放題サービスでも、YouTubeでも、満たすことができる。

しかし、CDひとつひとつにもストーリーがあり、モノとして手に入れる喜びを感じてもらえるのであれば、
これはもう「グッズ」と考えてしまって全く差し支えがない。

あなたがもし音楽活動をしているのであれば、
CDを始めとしたさまざまな「ストーリーを持ったグッズ」によって、活動の収益基盤を作ることを考えてみてはいかがだろうか。

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JASRACの分配の不明瞭さをどうにかしたい

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

先日JASRACについて書いたところとても反響をいただいたので、それを受けての続編になります。

前の記事をまだお読みでない方はこちらをぜひ

ぼく、ウソつきました

いきなりだが、本当にごめんなさい(土下座)

前回の記事がたくさんの方に読まれた結果、お二方ほどに「ウソ書いてんじゃねえ!」的なツッコミをいただきまして。

「えっ?ぼく間違ってないよね…?」と思いつつ調査を進めた結果、1つ思いっきり間違ってた次第であります。

つまりテレビ局側から見れば、どうせお金を払っているJASRAC楽曲の場合は、さっと気軽に使えるのだ。

逆に、自己管理だったり、NexTone楽曲だったりすると、イチイチ別途で申請した上で、別料金を払わなくてはいけないということになる。

「じゃあJASRAC曲でいいや」
となるのはご想像いただけると思う。

こうなってしまった場合も、権利者にとっては大変な不利益である。

上記の部分。

実際は2015年度からは、JASRAC/e-license/JRCの3者間では、使用秒数に応じた分配がスタートしていたとのことで…(ソース
(現在はe-licenseとJRCがひとつになってNexTone)

正直、全く知らんかった。ごめんなさい。
そして情報をくれたお二方、ありがとう。

このジャンル、結構詳しいつもりだったけどこういう取りこぼしてるニュースがあるんだな…と反省。

ちなみに自己管理楽曲で上記の状態にハマるというのは変わってないので注意。

JASRACは正義なのか

「じゃあ結局、JASRACはいいやつだったの?」

となると、そうは言い切れないところが難しいところ。

JASRACに信託した場合と、NexToneに信託した場合の大きな違いの一つが、「演奏権」の部分だ。

超簡単に言うと、

・曲をライブハウスで演奏する
・曲をお店のBGMとして再生する

というような使用をされた時に、

・JASRAC管理楽曲なら、お店から使用料が徴収され、作詞作曲者に分配される
・NexTone管理楽曲や自己管理楽曲だと、そもそも勝手に使ってはいけない

という話である。

これだけ見るとJASRACの方が優れているような感じでもあるのだが、実はここに問題がある。

この方式で徴収されたお金の分配方法が、めちゃめちゃざっくりしていてブラックボックス状態なのだ。

JASRACのブラックボックス

例えばぼくのバンド「SONALIO」や、その前身である「メリディアンローグ」の曲の一部はJASRACに登録されている。

そしてもちろん、今までに何十回もライブハウスでその曲たちを演奏している

だから当然、ライブハウスの人たちはJASRACにお金を払っている
(自分の曲を演奏しているだけなのに、JASRACにお金を払わなきゃいけないのはおかしい!という意見もあるが、ぼくはそこは仕方ないんじゃないかな?と思っている。演奏したのが本当に本人かどうかの確認の方が大変なので)

しかし、ぼくたちがJASRACから分配された「演奏権」に関する印税は、ここ10年振り返っても、なんとゼロなのだ。

明らかに矛盾している

このあたりの問題は、爆風スランプのファンキー末吉さんとJASRACの戦い(裁判)が知られているのだが、これも大枠としては同じ話だ。

ファンキーさんは自身がライブハウスのオーナーでもあり、JASRACに演奏権の使用料を請求されている。
しかし、「作詞作曲家としての自分」に正しく分配されていていない。これはおかしい。と情報発信を行っている。

JASRACとの戦い ファンキー末吉BLOG

演奏権の著作権使用料については他にも多く不満の声を聞く。

カラオケを大音量でかけつつ、それに合わせて生バンドが演奏してくれることにより、お客さんは生バンドで歌う体験ができる、という業態で人気のお店「BAN×KARA」オーナーの滝沢杏奈さんによると

とのことで、使用料の「徴収」の方はかなり熱心に行われている印象だ。

それに対して「分配」がここまで杜撰だと

と言いたくなる気持ちは分かる。

どうすればいいのか

さあこれは困った。

Shazamを応用するなどの技術的アプローチもあるが、
実際「どこで、どの曲を演奏したのか」を全曲、正確にキャッチするのは難しいのは分かる。

しかし、「何十回も何百回も演奏している(されている)のに納得感のある印税が入ってきていない」というアーティストが少なくとも複数存在するという事実から、JASRACの現状の分配方法に問題があるのは間違いない

どうしてもそこが改善できないというのであれば、せめて「こういう基準で、こういう方法でなるべく頑張って正しく分配しています」という情報は公開するべきではないだろうか。

それをJASRACがやらないのなら、NexToneなり、別の会社なりが整備していくしかない

特に店舗BGMについては、ぼくの会社がやれることも多いと思っているので、がんばっていきたい。

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人の夢と、会社の夢を重ねる

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

先日、会社のメンバー全員で遅めの新年会があったのだけど、その時にちょっと話した話を。

自分の夢と会社の夢

いきなりで恐縮だが、ぼくの将来の夢は「英雄」だ。

ぼくなりの英雄の定義は、
数億人の人生を、大幅に幸せな方向に転換させた人
である。

そういうことを、ぼくは生きているうちに実現したい。

それに対して、ぼくが代表を努めている会社「株式会社ワールドスケープ」のミッションは
実力あるアーティストが、公正に、経済的に評価される世界を作る
である。

世界中の音楽アーティストたちが、生い立ちや、お金や、人脈や、運などに左右させず、
人を感動させたり、興奮させたりすることができる、人に必要とされる音楽を作った者が評価されて、
そしてちゃんと収入を得ていくことができる。

そんな世界を作るために、この会社は存在しているし、メンバーは毎日働いている。

つまり、ぼく個人の夢と会社の夢(ミッション)は、全く別なのだ。

ぼくの夢には「アーティスト」という縛りはないし、会社の夢には「数億人の」などという縛りはない。

でも、もし会社の目指す世界を作ることができた時には、その代表者であるぼくは、英雄とは言えないまでも、少し英雄に近づいていると言える。
そういう意味では、ぼくの夢と会社の夢は、途中まで重なっているのだ。

人の夢と会社の夢を重ねる

ぼくは、少なくとも3ヶ月に1回、会社のメンバー全員と1対1で話す時間を取っている。

そこで、必ずぼくは「その人の夢と、会社の夢は重なっているか」を確認するようにしている。

生涯で何を実現したいのか。
どんな人生を生きたいのか。
そんな話を一人ひとりに真剣に聞く。

そしてその答えに対して、ワールドスケープは「正しい通過点」として存在できているのか?
それを確認する。
もしズレてきているなら、矯正する。

それが「その人の夢と、会社の夢を重ねる」ということだ。

今、ワールドスケープという会社は、メンバーそれぞれの夢と、会社の夢が全員ちゃんと重なっている。
一人ひとりの違う人生において、ちゃんと会社が「正しい通過点」として存在できている。

最高の状態だ。

そこには、無限のモチベーションがある。
だから地頭がいいやつが揃うより、
スキルがあるやつが揃うより、強い。

これでもし大きな結果が出なかったら、これはもう、リーダー(ぼく)がクソだったとしか考えようがない。

それだけは絶対に避けたいし、しかも、きっと大丈夫なはずだ。

人生70〜80年の間に英雄になるためには、こんなところで時間をかけている場合ではないのだ。

濃く長い人生を。

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JASRACの何が問題点なのかを解説するから、もう許してあげてほしい

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

今日の話は、悪名高き(?)著作権管理団体「JASRAC」についての話。

JASRACの炎上

こんなニュースが出て、JASRACがまた燃えている

音楽教室から著作権料徴収へ JASRAC方針、反発も:朝日新聞デジタル

Aさん「音楽教育の芽までつぶす気かー!」

Bさん「儲けることしか考えてないのかー!」

Uさん「私の曲は無料で使っていいからねー!」

とか色々な意見が噴出し、定例行事かのようにいつも通り炎上している。

一方でJASRAC関係者がTwitterで反論していたり、JASRAC擁護をする人もいたりする。

おそらく、音楽業界人でもない限り

「結局、どっちが正しいの?」
「JASRACはクソなの?クソじゃないの?」

の判断がつかないのではないかと思ったので、ぼくなりの解説をしてみようと思う。

彼らは必死に仕事をしているだけ

JASRACは、ざっくり言えば「作詞家や作曲家から著作権を預かり、それを使ってなるべくたくさんのお金に変えて還元するための団体」だ。

だから、

「音楽教室からも利用料を取るなんて!業界全体のことを考えてない!」
「地元の小さなライブバーにも職員が集金に来た!セコい!」

という批判は、気持ちはわかるけど、理屈としては若干ズレている。

彼ら(JASRAC)は、必死に、真面目に仕事をしているだけなのだ。

「取れそうなところがあれば、なるべく大金を取る」というのが彼らの仕事なのだから。

JASRAC信託せざるを得ない理由

それでも、「ひどい!」とか「何もそこまでしなくても!」と思う気持ちはとてもよく分かる。

そして、その気持ちをストレートにぶつけると、

「じゃあ、曲作った人はJASRACに権利を預けなければいいじゃないですか」
という反論が出てくる。

確かに、JASRACのやり方に納得がいかないなら、作詞家・作曲家はJASRACに自分の曲を信託しなければいいのだ。

理屈としては間違いない。
理屈としてはそうなのだが、現実的には難しい。

個人的には、知名度が高くない曲はJASRAC信託しない方がメリットが大きいと思っている。

しかし、知名度のある曲の権利者は、JASRACに信託せざるを得ない

その理由は下記の2点だ。

・印税収入が減る可能性があるから

・テレビなどの放送で使われる可能性が下がるから

それぞれ解説する。

理由1:印税収入が減る可能性があるから

今の日本でJASRACに信託しないということは、

・どこにも信託せずに自己管理する

・NexTone(イーライセンス+JRC)に委託する

の実質2択になる。

どちらの場合も、回収能力がJASRACと比べて大幅に劣るのは避けられないため、
作詞者・作曲者としては印税収入が少なくなる可能性が高い

これは権利者としては言うまでもなく致命的である。

理由2:テレビなどの放送で使われる可能性が下がるから

※追記(2017/2/28)
この段落については認識に間違いがありました。こちらの記事にて訂正しておりますのでご注意ください。

そしてもう一つの「放送で使われる可能性が下がる」については、テレビ局との包括契約の問題が関わっている。

JASRACは、各テレビ局と「包括契約」を結んでいる。

「売上の●%を支払ってくれるなら、JASRAC管理楽曲は使い放題でいいですよ」
という契約
だ。

つまりテレビ局側から見れば、どうせお金を払っているJASRAC楽曲の場合は、さっと気軽に使えるのだ。

逆に、自己管理だったり、NexTone楽曲だったりすると、イチイチ別途で申請した上で、別料金を払わなくてはいけないということになる。

「じゃあJASRAC曲でいいや」
となるのはご想像いただけると思う。

こうなってしまった場合も、権利者にとっては大変な不利益である。

※ちなみに、イーライセンスが「独占禁止法違反だ!」ということでJASRACを訴えているが、なんだかんだグダグダ争い続けていて改善に繋がっていない

どうしたらいいのか

というわけで、

「じゃあ、JASRACに権利を預けなければいいじゃないですか」

と言われても「はい、じゃあそうします」と簡単にできない事情が分かってもらえたかと思う。

つまり、トータルでみたら「JASRACに登録せざるを得ない」といえる状況でありながら、
JASRACのやり方に疑問を感じている権利者が一定数いる
、というのが問題の本質なのだ。

これを根本的に解決するためには、権利者に選んでもらえるように「JASRACに信託する、以外の選択肢」を盛り上げていくしかない。

そこに健全な競争が発生すれば、権利者と利用者がより便利で幸せになる形が浮かび上がってくるはずだ。

※ほんとはもうひとつ、JASRACには「権利者への分配額や分配方法が不明瞭」という大きな問題点があるんだけど、それはまたの機会に

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※追記(2017/3/10)
もうひとつの問題点について書きました。こちらの記事もぜひご覧ください。


Apple Music/AWA/Spotify等に自分のオリジナル曲を入れる方法3選

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こんばんは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

アーティストがリスナーに音楽を買ってもらう方法は、テクノロジーの発達により変化してきた。
CD販売があり、ダウンロード販売が登場し、最近ではストリーミングサービス(定額聴き放題)が広がりつつある。

数多く存在する「ダウンロード販売サービス」や「ストリーミングサービス」に自分の作った曲を掲載することも、今ではとても簡単になっていることをご存知だろうか?

今日はその辺の話を。

ダウンロードとストリーミング

説明する必要もない気がするが、まずは改めて「ダウンロード販売」「ストリーミングサービス」について整理しておく。

●ダウンロード販売サービス
インターネットを経由して、1曲単位で曲のデータを購入できるサービス。日本では1曲200円〜250円が相場。
アルバム単位でまとめ買いすると安くなったりする。
サービス事業者の取り分は30%程度が相場。残りが権利者にバックされる。
代表的なサービスは、iTunes Store、Mora、AmazonMusic、Music.jp、など。

●ストリーミングサービス
インターネットを経由して、大量の曲リスト(数百万曲〜数千万曲)の中から好きな曲を聴くことができるサービス。無料〜月額1000円が相場。
無料のプランは音声広告が挿入されたり、フルコーラスで聴けなかったり、曲の選択に制限があったりする。
1再生あたり0.3円〜1円程度が、サービス事業者から権利者にバックされる。
代表的なサービスは、Spotify、AWA、LINE MUSIC、Apple Music、PrimeMusic、KK BOX、など。

そして、世界中に広がるこれらのサービスに、あなたが作ったオリジナル曲を配信する方法は、すでにいくつも用意されている。

方法その1:TuneCoreを使う

TuneCoreというサービスがある。
あなたがTuneCoreに1年毎に、シングル1410円・アルバム4750円(税別)を支払えば、ものの数日で、上に挙げたような世界中のサービスに、あなたの曲が並ぶことになる。

しかも、TuneCoreが取る中間マージンはゼロだ。
各サービスからバックされた金額が、全てアーティストの手に戻る。
TuneCoreの儲けは、年額の手数料のみである。

ある程度以上売れる(聴かれる)自信があるならば、TuneCoreを使わない手はないだろう。

>> TuneCore Japan

方法その2:BIG UP!を使う

TuneCoreに比較的近いサービスとして、Avexが最近公開したBIG UP!というサービスがある。

こちらもオンラインで申し込むだけで、世界中の各サービスに配信することができる。
年額の手数料は、シングル1380円・アルバム4500円(税別)となっており、TuneCoreよりも微妙に安い。

そしてBIG UP!も、基本的には中間マージンを取らない形だが、
国内のダウンロード販売に限っては、販売価格の40%(各サービス事業者の取り分を含める)を引いた残りをバックする、という例外がある。

例えばiTunes StoreであればAppleの取り分は30%なので、10%がBIG UP!の取り分となる。

海外やストリーミングサービスをメインに考えるのであれば、TuneCoreよりも優位と言えるかもしれない。

>> BIG UP!

方法その3:Frekulを使う

Frekulは、TuneCoreやBIG UP!と同様の機能を内包している。
というか、FrekulはTuneCoreと裏側で接続していて、機能としてはTuneCoreを使った場合と同じだ。

ただし、Frekul経由での配信の場合は、登録料や年額手数料の類はかからず、無料である。

そのかわり、各サービスからバックされた金額の40%が手数料として引かれ、残りの60%がアーティストの手に戻る

つまり、TuneCoreやBIG UP!よりも数が出ない(たくさん販売する自信がない)アーティスト向けと言えるだろう。

また、TuneCoreと違い、販売価格・発売日・配信先サービスなどを細かく指定することができない。

それはFrekulが、「なるべく音楽制作に集中してもらうため、できるだけアーティストが面倒な設定をしないで済むようにしたい」という思想を持っているからである。
(ちなみに「発売日」については今後指定できるようにするつもり、とのことだ)

>> Frekul

なぜここまでFrekulの内情に詳しいか?

それはぼくがFrekulの中の人だからである。

ぜひ多くのアーティストに、Frekulから全世界にノーリスクで曲を配信し、稼いでほしい(本音)。

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